ここがパドックかー。ゆっくり歩いているのに、さすがに迫力が違うなー。いやー、それにしてもカッコいい。
・・・おいおい、どうした、どうした。『動物園で象やキリンを見てまず思うのは、馬とどっちが速いだろ?』競馬の伝道師ODINです。
パドックでどの馬を買うか見定め中なんですが、馬って綺麗ですよね。ちょっと見とれてしまいました。でも、動物園や牧場で見る馬と少し違うような・・・。
良いところに目を付けたな。競馬場で走る馬は、速く走るために品種改良された特別な馬だ。動物園や牧場で人々を癒すために産まれた馬とは、その容姿や能力が根本的に違う。ナメック星人で言うと「ピッコロ」と「カルゴ」くらい違う。
・・・突然ドラゴンボールネタを出さないでください。しかも、「カルゴ」ってすぐ殺された「デンデ」の兄弟でしょ。マニアックすぎますって(なんで私は知ってるんだ)。
よくぞ、ついてきた。ではせっかくなので、競走馬の種類とレース人生について、解説しよう。
競走馬の品種
競走馬の代表的な品種
一般的な平地競走で用いられる代表的な品種は、「サラブレッド種」「アラブ種」「アングロアラブ種」「クオーターホース種」「ポニー種」の5品種です。日本の競馬では、最もスピード能力に長けている「サラブレッド種」が主流であり、それ以外の品種はほとんど使われておりません。したがって、「日本の競馬」=「サラブレッド種」と考えて特に問題ありません。
なお、中央競馬の「障害レース」や地方競馬の「ばんえいレース」では、求められる能力が変わるため、全く別の品種が使われています。
サラブレッド種の特徴
体高(肩までの高さ)は160~170cm、体重は450~500kgが標準的です。頭が小さく、四肢が長く、胸や臀部の筋肉が発達して、速く走ることに特化した品種です。ただし、ケガをしやすく、物音や閃光に弱いなど、肉体的・精神的にデリケートな点も特徴です。
サラブレッドの血統
「競馬は血統のスポーツ」と言われるように、サラブレッドは父親の能力を色濃く受け継ぎます。血筋の良い人間を「●●界のサラブレッド」と言いますが、この比喩表現は競馬から来ています。
現在の全てのサラブレッドは、父親を辿っていくと、「ゴドルフィンアラビアン」、「バイアリーターク」、「ダーレーアラビアン」のいずれかに辿り着き、これらを「三大始祖」と言います。
サラブレッドの生産数
サラブッドの生産頭数は、アメリカ、オーストラリアが圧倒的に多く、日本は世界第5位です。なお、日本のサラブレッドは、9割が北海道で生産されています。
競走馬の人生
馬齢(年齢)の数え方
競走馬は、生まれた時が0歳で、以後1月1日が来るごとに、1歳加齢していきます。つまり、誕生日は違っても、同じ年に産まれた馬はいつでも同じ年齢と見なされます。
交配(種付け)
競走馬は、父親の種牡馬(しゅぼば)と母親の繁殖牝馬(はんしょくひんば)の交配によって誕生します。これを「種付け」と言います。通常は、牝馬の発情期である3月~5月に行われます。人工授精は、国際血統書委員会(サラブレッドの血統書を管理する国際機構)により禁じられています。
出産・離乳(子別れ)
馬の妊娠期間は約330日なので、出産時期は3月~5月が一般的です。生まれた仔馬は、出産から約6か月で母馬から強制的に引き離されます。これを「離乳」もしくは「子別れ」と呼びます。最近は、母馬と仔馬双方のストレス軽減のため、放牧地で仔馬だけのグループが形成されるのを待って引き離す手法を取る牧場も増えています。
馴致・育成
「馴致(じゅんち)」とは、競走馬として扱われることに馬を慣れさせることです。「人と馬の信頼関係を作ること」「人が馬のリーダーになること」「馬に競走馬としての環境を覚えさせること」を目的とした基礎訓練で、離乳してから1歳半ばくらいまで行われます。
育成とは、1歳後半から2歳の前半にかけて行われる競走馬としての訓練です。実際の騎乗や調教の他、競り市での立ち振る舞いなどの基本的な教育が行われます。
馬主による購入
競走馬は、「競り市」などで購入されて、所有者が生産者から馬主に変わります。馴致・育成を終えた1歳半ばから2歳の半ばにかけて、セリに出されることが一般的です。
なお、馴致前の0歳から1歳の馬が売買されることもありますが、その場合は競り市ではなく、生産者と馬主の直接取引で行われるのが一般的です。それを「庭先取引」といいます。
競走馬登録・入厩
2歳の春から夏にかけて、競走馬として登録された後、その後の育成管理を行う調教師の厩舎(きゅうしゃ)に預けられます。これを入厩(にゅうきゅう)と言います。なお、競走馬の名前は、デビューするまでに最終決定する必要があります。
競走生活
一般的には、2歳の7月以降にレースデビューとなります。中央競馬では、最初はデビュー戦の馬のみが出場する「新馬戦」での戦いとなります。その後のレース生活は競走馬によって千差万別ですが、どんなに息の長い馬でも現役生活は12歳くらいまでで、能力のピークは4歳~6歳と言われています。
なお、競走馬がオスの場合に、競走時に興奮しやすい気性を治すために、去勢されることがあります。その場合、性別が「セン馬」に変わります。
引退後の生活
競走生活を引退後は、そのレース人生によって変わります。成績が良い馬は、種牡馬(しゅぼば)や繁殖牝馬(はんしょくひんば)となり、次世代の競走馬を生産する役割を担います。それ以外には、競馬場の誘導馬、馬術の競技場、民間の乗馬サービスや教育機関(高校・大学)の実習などに従事する使役馬、警察騎馬隊への入隊など様々です。
なお、現役時代に大活躍した競走馬は、現役生活よりも引退後の種牡馬・繁殖牝馬としての人生を重要視し、早期に引退することがあります。名馬と呼ばれる多くの馬が4歳から5歳で引退しており、「血統のスポーツ」と言われる競馬界ならではの現象です。
サラブレットは、正に走るために産まれた馬なんですね。
その通り!もはや生まれる前からレースを走ることが義務付けられた人生で、ある意味人間の奴隷のようにも見えるかもしれない。
しかし、競走馬は多くの人間の夢や希望を背負って走る。だからこそ、人間は最上級のおもてなしを用意し、競走馬の気分や体調をベストにするよう、最大限の努力をする。人間こそ、競走馬の奴隷なのかもしれない。
何だかまた大げさな物言いですが、競走馬の華麗なる人生が垣間見れてよかったです。ちなみに、パドックはとっくのとうに終わってます。