障害レースの7つのトリビア


このページは、障害レースについてのトリビアです。ODINさん、障害レースを一言で表すと?

陸上競技で言うハードル競走だ。障害物が沢山あり、距離も長い。馬にとってはハードなレースだが、平地競走と比較して、注目度が低いのがとっても残念だ。

そうなんですか?とっても見ごたえはあるんですけどね。苦労のわりに報われないのは、ちょっと可哀そうかも。

競走馬と騎手も平地競走とは別々の登録が必要で、1日に1~2レースしか開催されず、とっても「おまけ感が強い」レースだな。その証拠に、地方競馬だけでなく、ダービースタリオンやウィングポストでも開催されない

オリンピックの花形である短距離走やマラソンと比べたときのハードル競走と似てますね。オジュウチョウサンというスターホースも出てきたし、これからの盛り上がりを期待しましょう!


①障害レースは少ない。でも実はダートとあまり変わらない

GⅠ~GⅢレース数

2020年のGⅠ~GⅢのレース数は、合計で138レース。そのうち、障害レースはわずか10レース(全体の9%)。でも、実はダートレースも15レースで、実施回数は大して変わりません。障害レースばっかり「おまけ扱い」するのは、もうやめにしよう(#ペコパがどこかで言って欲しい)。

②障害レースは長い。その理由は安全のため

GⅠ~GⅢレース平均距離

障害レースの平均距離は約3500メートル。平地競走の2倍程度です。距離が長く、その上障害があるなんて、馬にとっては非常にハードですが、その理由は走るスピードを抑えるため。障害物を飛越する際に、馬の転倒や騎手の落馬のリスクを抑えるための安全対策なんです。平地競走に比べて、負担重量を重くしているのも、同じ理由です。

③靖国神社で行われたことがある

靖国神社で競馬

日本の競馬の歴史はとっても古く、最古の記録は、江戸時代末期に外国人居留地で行われた洋式競馬とされています。そこでは障害競走も行われており、1887年5月には、神社での祭典競馬(奉納や余興のために行われる競馬)として、靖国神社で行われた記録が残っています。距離は900mの馬場を1周する程度で、主催者は日本の陸軍でした。

なお、公営競技となって初めての障害競走は、1908年に子取川競馬場(現:札幌競馬場)で実施された1600mのレースで、1着馬は2分2秒で走破しました。

④昔は「障碍」競走と表記されていた

障害競走は、もともと「障碍競走」と表記されていました。1945年に「碍」が常用漢字ではなくなったため、「害」の字に変更されました。「碍」とは「妨げる・進行を邪魔する」という意味を持ち、本来ならば、「障碍」の方が正しい表現と言えます。

競馬とは関係ありませんが、近年、「障害者」の表記を「障碍者」に変更しようという動きが広がっています。近い将来、「障害」を「障碍」と戻す日が来るかもしれません。

⑤障害物の高さは1.4m。馬はスキップで越えられちゃう

障害物一覧

障害物には様々な種類があり、コースによって異なります。最も設置数が多いのは生垣障害で、高さは1.4mです。馬の跳躍の世界記録は約2.5m。馬にとってみたら、スキップ程度の力で越えられそうですね。

因みに男子障害競走のハードルの高さは1.1m。人間との差がわずか30センチであることを考えれば、馬にとって文字通りハードルが低いことがイメージできると思います。

⑥中央競馬で最も重賞レースを勝ったのは、オジュウチョウサン

オジュウチョウサン

障害レースを代表する競走馬、それがオジュウチョウサンです。2020年の中山グランドジャンプでは、前人未到の5連覇を達成し、同一G1レースの最多連勝記録を樹立しました。障害レースを主戦としながら、JRAの数々の記録を塗り替え、重賞レースの勝利数は歴代1位になりました。

2020年で9歳になりますが、未だ現役です。これからさらに記録を伸ばしていくことでしょう。因みに名前の由来は「長山(馬主の名前)」+「オジュウ(馬主の息子が子供のころ、オレをオジュウと発音した)」らしいです。

⑦世界一の障害レースは、イギリスのグランドナショナル

2019年グランドナショナル

イギリスのエイントリー競馬場で行われるグランドナショナルは、世界一の障害レースと言われています。距離は約6900mで、延べ30回の障害を飛越する世界一過酷なコースで、走破タイムは8分~10分程度です。毎年約40頭が出走しますが、完走できるのは全体の20%~30%程度で、わずか2頭しか完走できなかったレースもあります。

イギリスでは、競馬で最も人気のあるレースであり、馬券の売上は500億円~600億円と、日本一のレースである有馬記念と同等です。

スタートゲートがなく40頭が突然走り出すオープニング、次々に競争を中止して徐々に減っていく馬群、最後まで走りぬく競走馬の力強さと観客の声援には、確かな見ごたえがあります。